Case studyPARK活用事例

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原価高騰でピンチ!可視化による経費削減とWEB戦略で営業赤字脱却!

中小企業の事例

  • BEFORE

    • 売上減少にともなう営業赤字が続き、債務超過状態に
    • 顧客の減少が続くが、新規営業まで手が回らない
    • 工場機械の劣化と借入の増加、従業員の高齢化など課題は山積み
  • AFTER

    • 「決算書3ヶ年分析」で財務状況を分析。改善の結果、営業黒字を達成!
    • 営業活動のデジタル化の推進と第三者認証取得で、新規顧客の獲得に成功
    • 経営全体を多角的に検証。持続可能な経営に向け優先順位付けを実施

活用のポイント

  1. 原価高騰!販管費の見直しで赤字脱却

    機械器具向けの保護素材を扱うこちらの会社は、主軸商品の製造販売を中心に、事業の多角化を睨んでデジタル関連のソリューション事業も展開しています。しかし、近年の紙需要の縮小やコロナ禍の影響もあり、主軸事業の売り上げが減少、ここ数年は営業赤字が続いていました。
    財務状況の確認を行うため、きづなPARKの「決算書3ヶ年分析」を実施すると、判定は「レベル0(債務超過)」の結果でした。損益計算書の経年変化からは、2022年に売上高に対する売上原価の割合が6%も上がり、原価率の上昇が経営を圧迫していることもわかりました。
    まずは経営の見直しを進める必要があります。財務分析の結果、お金の流れに無駄が多いことがわかり、まずは徹底した経費の見直しを行いました。「交際費」や「会議費」等、付き合い関係の経費も、仕事につながっていないものはすべて中止。さらに売上拡大に向けて経営戦略の見直しに着手。主軸事業は維持しつつもIT事業の強化を図りました。
    その結果、IT事業の堅調な伸びから売上の拡大がみられ、取り組みから1年で営業黒字を達成することができました。

  2. DXスタート診断は内訳もチェック!

    売上拡大に向けて欠かせないのが新規顧客の獲得です。しかし新規営業に割く人材が社内で不足していました。
    そこで注目したのがデジタル技術の活用です。きづなPARKの「DXスタート診断」の結果では、IT事業を展開している企業だけあり、総合評価が全データ平均(21.5ポイント)より高い52.0ポイントでした。しかしその内訳をみると、9つの中分類のうち、「ソフトウェア構成の整備」が全データ平均より低く、中でも「電子的な営業管理の方法」は0ポイントであったことがわかりました。
    この結果を受けて、主力である機械器具の保護素材ついては新規顧客開拓に向けたプル型のWeb戦略を強化し、新規顧客の獲得に成功。またIT事業においても、第三者認証であるDXマーク認証も獲得。ブランド化を進めました。その結果、売上も順調に回復し、2期連続の営業黒字を達成することができました。

  3. ヒト・モノ・カネ・情報・時間のそれぞれの現状スコアを把握!

    このように、売上拡大戦略の実施と徹底した経費削減により、売上自体は最初の1年で約33%増、経営黒字を達成することができました。一方、工場設備の設備投資は遅れ、従業員の高齢化も進んでいます。借入金の多さから、現状ではいまだ債務超過状態です。持続可能な経営の実現も、こちらの会社の中長期的な課題でした。
    きづなPARKの「経営診断―きづなFocus」は、中小・小規模企業の経営力と企業価値を、企業経営に不可欠な5つの経営リソース項目(ヒト・モノ・カネ・情報・時間)から検証可能です。こちらの会社の経営リソースを分析したところ、モノはB判定であったものの、その他の検証可能な3要素は最も低いⅮ判定でした。財務状況や収益構造、従業員の育成など、幅広い経営改善への取り組みが必要な状態であることがわかりました。

    営業戦略の見直しや経費削減などは経営改善に向けた第一歩です。赤字からの脱却を果たせたその次は、更なる売上拡大に加えて、収益構造の改善や業務効率化の推進、従業員の育成なども必要になるでしょう。
    このようにきづなPARKの各種分析ツールは、現状の経営実態はもちろんのこと、企業の将来性も検証できるのです。

今後の展望

まずは経営黒字の達成を最初の目標にしましたが、債務超過状態の解消までには至っていません。今は経営全体の見直しに向けて業務フローの可視化を進め、優先順位をつけて改善に向けた取り組みを続けています。